仮想化

1.

人間は自然の摂理のままに生きるべきであるとする。ここでいう自然とはなんのことだろうか。おそらくこの現象界のことを指していると思われる。

私たちは還元してしまえば古くから言われているようにアトムから構成されていて、このアトムは物理法則で記述される世界に住んでいる。そう私たちは思っている。

2.

「アトムは記述されている。」のだった。このアトムは「物理法則」で記述されている。

ではアトムは記述される姿のまま実在しているのか。記述される「姿」とは何を指しているのか。

3.

食べるという行為も、味覚や喉越しのようなものは仮想なもので置き換えられるのだろう。ここで仮想といっているものは、模倣されたということを意味するのなら、一体何を模倣しているのだろうか。味覚だろうか。より根底にある物理法則だろうか。

4.

仮想化されているものの最初は言葉の代わりとしての文字だったと思われる。次に音だ。

今、視覚がそれに加わろうとしている。

5.

誰もがインターネットの階層の下にある層に興味をもたなくなるように、もしくは半導体の基盤のようなものに一人一人の物理的な肉体がなるのだとしたら。その肉体に興味をもたなくなることは不思議でもなんでもないことだ。

その手触り、風の囁き、すべてがむしろ仮想の側にあるようになるのだから。肉体の側はむしろ、私たちの皮膚の内側に流れている血や内臓のような見てはいけないものになる。