なかったもの

私が私と対話することと、私が思うこと、私が独り言をいうこと、私がクマのぬいぐるみに話しかけること、私が神に告白すること、私が目が覚めて最初につぶやくこと

「私」という言葉は奇妙で、私は私を指しているだけなのに、皆は皆、それぞれのことを考える。だから私には二つの意味がある。私からみたあなたにとっての私と、私という私と。

一番重要そうなこの言葉自体がすでに分裂しまっている状況では、「私とは何か」という問題にこたえることはできないようにも思える。これは「人間とは何か」という問題ではなかったはずだ。「どう生きるか」という問題でもなかったはずだ。「善」の問題でも、「この世界」の問題でもなかったはずだ。決断の問題でも、状況の分析でも、理想でも現実でもない。もちろんあなたでもない。「私」の問題だ。

では、これは誰に向かってなんのために話しているのか。結局、この話は冒頭に戻っていく。